泣いて、笑って、恋をした。
第3章 act2
数歩離れて良かったと本当に感じたのは、繁華街に出てすぐだった。
道の両脇に居る客引きが「遊んで行って下さいよ」と声をかけ、ホストの人達は直立不動になりフ深々頭を下げる。
これから出勤であろう艶やかな女の人が、彼の腕を絡めとり体をピッタリとつけ、耳元で何かを囁き笑う。
そのたび私は足を止め、彼との距離を保つ。
彼がどんな顔で話しているんだろう。
笑っている顔は想像つかない。
きっと無表情で何も言わずにいるんだろうな……
話しかけられてないのに、こっちが疲れてしまう。