泣いて、笑って、恋をした。
第3章 act2
まさかこんな所でお風呂に入る羽目になるなんて……
チラッと彼を見ても知らん顔。
これ以上話さない的なオーラを放っていて、私は小さくため息をついて、彼が言う突き当たり左へと足を進めた。
部屋と言うには殺風景な空間の奥のドアを開けると、剥き出しのコンクリートの壁がずっと続いている。
突き当たり左……
突き当たり左……
キョロキョロしながら、呪文のように彼の言葉を反復しながら歩く。
突き当たり左にドアがありそこを開けると
「広っ」
私の小さな呟きも反響するくらいの広さ。
いつも行く銭湯より広い脱衣場。
目の前には引き戸があり、その少し横には木目調のドアがある。