ふぁざー × こんぷれっくす
第5章 ファスシネイション
「はい、冷やしうどん大好きです」
「ママッ!」
「はいはい、文句ばっかり言っていないで、風香も手伝って!」
最後の抵抗――――というよりは、つい感情的になって駄々を捏ねる子供のように訴えた声は、ママは受け止めてくれなかった。
これ以上反発しても無駄だと悟り、渋々とキッチンに行って清水が食べる冷やしうどんの準備を手伝わされる羽目になる。
「はい、エプロン」
「はい……」
思いっきり下唇を突き出している私に、ママは苦笑いをしながらエプロンを差し出した。
このエプロンは、パパが選んでくれたエプロンだ。
パパとママがいつもお揃いのエプロンを使って料理しているから、私もお揃いが欲しいって、パパにおねだりをしたのだ。
普段はこのエプロンを着ける時はワクワクするけど、今日の私の気持ちは鉛より重たい。
「風香は薬味を用意して」
「はい……」
「清水くんの苦手なものは知ってる?」
「……知らない」
「そう……」
私の回答をママは特に気にする様子もなく、優しく微笑むだけだった。
「ママッ!」
「はいはい、文句ばっかり言っていないで、風香も手伝って!」
最後の抵抗――――というよりは、つい感情的になって駄々を捏ねる子供のように訴えた声は、ママは受け止めてくれなかった。
これ以上反発しても無駄だと悟り、渋々とキッチンに行って清水が食べる冷やしうどんの準備を手伝わされる羽目になる。
「はい、エプロン」
「はい……」
思いっきり下唇を突き出している私に、ママは苦笑いをしながらエプロンを差し出した。
このエプロンは、パパが選んでくれたエプロンだ。
パパとママがいつもお揃いのエプロンを使って料理しているから、私もお揃いが欲しいって、パパにおねだりをしたのだ。
普段はこのエプロンを着ける時はワクワクするけど、今日の私の気持ちは鉛より重たい。
「風香は薬味を用意して」
「はい……」
「清水くんの苦手なものは知ってる?」
「……知らない」
「そう……」
私の回答をママは特に気にする様子もなく、優しく微笑むだけだった。