ふぁざー × こんぷれっくす
第5章 ファスシネイション
ママのその一撃に、私は一瞬でノックアウトされた。
もう反撃する気力もないわ――――。
ガックリと肩を落とし、悲しい気持ちでうどんを一本摘まんだ。
ショックの余り麺つゆにも付けないで、素面を口の中にズルズルと吸い込んでいく。
そっか、パパは私の彼氏に会うのを楽しみにしてるんだ――――。
何時までもパパのことばかり追い掛けている訳にはいかにのは分かっているけど、パパ以上に素敵な男性なんてやっぱり居ないし、考えられない。
元はといえば私がファザコンなのは、パパがカッコ良くて優しくて、素敵過ぎるからじゃないの!
なのに酷いよ。
産まれてこの方ずっと傍にいた男性がパパなんだよ。
二十年間の想いを簡単に覆すことなんて出来る訳ないじゃない!
きっと、今の私の思考を百人が百人ともおかしいと思うだろう――――。
だけど小田切風香という人間には、これが当たり前だし、パパを中心に世界が回っているのだ。
美味しい筈のうどんと天ぷらが、なんだか味気ない。
「ご馳走さま……」
「え、風香もういいの? 殆ど食べてないじゃない。最近あなた食が細過ぎじゃない? もしかして清水くんのために……」
ママは神妙な表情を浮かべて、言葉を切った。
もう反撃する気力もないわ――――。
ガックリと肩を落とし、悲しい気持ちでうどんを一本摘まんだ。
ショックの余り麺つゆにも付けないで、素面を口の中にズルズルと吸い込んでいく。
そっか、パパは私の彼氏に会うのを楽しみにしてるんだ――――。
何時までもパパのことばかり追い掛けている訳にはいかにのは分かっているけど、パパ以上に素敵な男性なんてやっぱり居ないし、考えられない。
元はといえば私がファザコンなのは、パパがカッコ良くて優しくて、素敵過ぎるからじゃないの!
なのに酷いよ。
産まれてこの方ずっと傍にいた男性がパパなんだよ。
二十年間の想いを簡単に覆すことなんて出来る訳ないじゃない!
きっと、今の私の思考を百人が百人ともおかしいと思うだろう――――。
だけど小田切風香という人間には、これが当たり前だし、パパを中心に世界が回っているのだ。
美味しい筈のうどんと天ぷらが、なんだか味気ない。
「ご馳走さま……」
「え、風香もういいの? 殆ど食べてないじゃない。最近あなた食が細過ぎじゃない? もしかして清水くんのために……」
ママは神妙な表情を浮かべて、言葉を切った。