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ふぁざー × こんぷれっくす

第5章 ファスシネイション

いただきまぁす!


心の中で呟いて軽く手を合わせてから、ようやく白く輝くパパのうどんに箸を付けた。


「あら~一人暮らしで大学通うなんて、大変でしょ」

「えぇ、正直。でも送り出してくれた両親には感謝してます」


私がつるつるとうどんを啜っている間にも、二人はまだ会話を続けている。


早く食べればいいのに、天ぷら冷めちゃうよ。


コシの利いたうどんの歯ごたえを堪能しながら、天ぷらの期待へ胸を膨らませていく。


「清水くん、偉いわね~! 良かったらまた、食べに来てね! 今度夕飯でも!」

「良いんですか! それは是非、伺いたいです」

「全然かまわないから。主人もきっと喜ぶわ」

「ぶっ……!」


急な展開に、思わず啜っていたうどんを吹き出しそうになった。


漏れなく天ぷらへの楽しみも、吹っ飛んだ。


ちょっと、ちょっとぉぉぉ――――!
ママそれはちょっと、ないでしょ!
勝手に決めちゃわないでよ!

それにパパは、清水と私の初対対面時の最悪な所に居合わせていたんだから、そんな相手がきて嬉しい訳ないじゃない!


「ママッ! それは先ず、パパに確認してからじゃないと不味いと思うんだけど!」


そうよ、いくら許容範囲が広いパパでも、いきなり娘の彼氏(じゃないけど!)を連れてこられたら面白くないに決まってるわよ!


そう私は思いたかった――――が!


「え、そうね~。でも志信さんも風香が彼氏を連れてくるのをまだかな~って、楽しみにしているわよ」

「なっ!」


パパァァァ――――酷いよぉぉぉ――――!


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