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ふぁざー × こんぷれっくす

第3章 ファーストキス

清水大地の姿が消えた途端、再び学食が騒がしくなった。


普段刺激が少ないのか、人に起きた不幸を面白おかしく話題にしていく。


「なにアイツ〜誰ダレ!?」
「あの女の子…結構人気ある…狙ってた人も多かったんじゃ…」
「やるなぁ〜!大胆告白!」


おいおいおいっ!
告白なんか、ひとっ言もされてないから!


「風香…今日アイツと一緒に帰るの?」


愕然としている私に桜は、腫れ物を触る様に聞いてくる。


一緒に食べていたメンバーも、何て声を掛けていいか困っていた。


「ごめん…桜…私もう帰る…」


「う、うん!一緒に帰ろうか?」


「ううん…大丈夫…有難う…これ片してもらっていい?」


「分かった!気を付けて帰ってね!」


私はフラつきながら、ヨロヨロと学食を後にした。


きっとこのままだと明日には…
いや、今日中には大学中の公認カップルにされてしまう。


「嫌…それだけは…」


私はパパみたいな人が理想なんだから…
あんな野蛮に、いきなり人のファーストキスを…


「うっ…」


口元を手で覆って、廊下の壁に凭れ掛かる。


私の初めてのキスは…


『カレー味』だった。

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