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ふぁざー × こんぷれっくす

第3章 ファーストキス

「カレー」


清水大地は、単語だけで言い切った。


「カ、カレェ…そう…カレーね…」


「風香…」


虚ろな目で『カレー』と呟く私に桜が自分のカレーランチをチラ見して、哀れんだ感じで呼び掛ける。


よくさぁ…
ファーストキスは『レモン味』って聞くけど…

それもどうなのって思ったけど…。


私の周りに小さなインド人が、ナマステ状態でクルクル踊り出す。


「これお前のスマホ?俺の番号入れとくから、コールは3回で出ろよ」


インド人と現実逃避している間に、テーブルに置いておいた私のスマホを清水大地は勝手に弄って、電話番号を登録してしまった。


「えっ!ちょっと!何?」


やっと我に返ると


「コールは3回!あと今日一緒に帰るぞ!」


そう言って、スマホを私に放り投げる。


「わっ!ちょっと!何すんの!てか、勝手に決めないでよ!」


「さて…午後の講義に行くか」


私の主張を全く無視して、清水大地は


「またなぁ〜」


掌をヒラヒラさせて学食を去っていた。

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