エスキス アムール
第10章 ニガイキオク
三嶋良子は
みきちゃんの一番
仲良い友達だった。
それは把握していたものの、
彼女とは、
会話を交わした事もない。
みきちゃんの
一番仲の良い友達だったから、
知っていた、
と言うくらいだ。
それを付き合ってるなんて…!!
『誰がそんなこと言ったの?』
『…良子だよ』
よくも、そんな嘘を!!
『…つきあってないよ!』
必死でそう言うと、
『そうだよね。』と、
みきちゃんは力なく頷く。
弁解できたか、
と思った瞬間、
『ついこの前まで
付き合ってて、
別れたんでしょ?良子と』
……ナニイッテンノ?
え、これ、俺の話だよね?
俺ってもしかして、
多重人格とかなのな。
知らない間に、
誰かと付き合って別れるなんてこと、あんのかな。
精神科
受診したほうがいいのかな。
『いや、
ちょっ…待ってよ
誰がそんな事言ったの?』
『…良子だよ。』
良子良子って!!
誰だよ!!
俺よりも
良子を全面的に信頼してる感じ、何なの?!
本人に聞いてみようとか
思わないわけ?
そして
みきちゃんは涙を一つこぼして
耳を疑う言葉を言った。
『波留くんって…、
ホモなんだね…。』