エスキス アムール
第12章 「風邪です!」
「確かに
勝手に走って、
勝手に泣いて、
勝手に帰って来た
意味わかんない行動は、
不自然に思われたかもしんないけどさ。」
「意味わかんない行動って…」
「オーノさんから
してみたらそうだよ。
何で走った?
なんで、泣いた?
と思ったら帰んのかい!
みたいなね?」
「…」
「だけど、
それだけで
店に来なくなることは無いよ。
この一年ずっと通ってるんだから。」
「…そうかなぁ」
「お前は、
被害妄想しすぎなんだよ!
見ただろ?
オーノさんの会社の変態社長。
あいつの下で副社長やってんだぞ?
心が広くないと、務まらねーよ」
「…確かに。」
確かにじゃねーよ
「オーノさんは、絶対来る。
確実に来る。
鼻ほじりながら、
優雅に待ってろ。」
「本当に鼻ほじるのやめて。」