エスキス アムール
第16章 バーボンと、ストーカー
「お、ヤケ酒かな?」
そんな声が聞こえてきたのは、
それから
30分くらい経ってからだ。
「…木更津」
「なに、呼び捨てにするほど、
心寄せてくれてるの?」
彼は冗談っぽく言うと、
俺の横に座った。
「なんで、ここに座るんだよ」
「僕も一人だからね。」
「あっちに座れよ!」
「失恋した波留くんを
放っておけると思う?」
「…」
木更津を睨むと、
ごめんね。そう付け加えた。
だけど、その顔は悪びれてない。
「…この、ホモ野郎」
「そういう毒舌も堪らないよね」
「…」
なんて
ポジティブシンキングなんだ。
色々逆効果だ。