エスキス アムール
第16章 バーボンと、ストーカー
「僕さ、波留くんに謝らなきゃいけないことがある。」
溜息をついた俺に、
彼は今度こそ申し訳なさそうな顔をして、言った。
「…なんだよ。」
捨てられた犬みたいな顔
してんじゃねーよ
「僕さ、波留くんのこと好きじゃん」
「知るかよそんなこと」
「好きすぎてさ、
最近、波留くんのこと興信所使ってずっと付けてた。」
「…ストーカーかよ…」
これだから金持ちってのは嫌だよ。
金持ってるからって、
そうやってすぐ調べんだよ。
「いや、ね?
悪いなとは思ったよ?
だけどさ、止められなくてっ」
「てへ、じゃねーよ!」
木更津の頭を引っ叩く。
「それで?
お見通しって訳か、俺のこと。
まさか、お前ここにきたのも…っ」
「……」
「てへ、じゃねーよ!!
はー、なんでホモは
皆ストーカーなんだよ。」
「偏見はよくないよ、波留くん」
「……」ジロリ
「ソーリーソーリー」
酒をまた流し込んで、
木更津の頼んだものに口をつけようとすると、
「あ、間接キス♡」
なんて、ほざくもんだから、
また新しいのを注文した。