エスキス アムール
第16章 バーボンと、ストーカー
「だからね、
お詫びと言ったら何なんだけど。」
「なんだよ」
「ひとつ、情報提供をね。」
彼は、
バーボンを口に含むと
「いいねぇ」
と呟いて語り始めた。
「うちの三嶋と波留くん、
同じ大学で、
結構手を焼いたようだね。
…しばらく会ってなかったけど、
この間の僕たちの接待で、
また再開した。違う?」
「そうだよ。」
「あれから、彼女、
早退を繰り返すようになってさ。
そのときに丁度送られてきた、
波留くんの調査結果を見て
ピンときたわけよ。
波留くんが終わる時間と、
彼女が早退する時間、
なんとなく、合うなーって。」
その言葉に、俺はゾッとした。
…まさか、
まさかだろ。
「それで、
これまた興信所使って、
彼女の事も見てもらった。
そしたらさ、分かったわけよ。
彼女が、
波留くんをつけてるってことが。」
手が震える。
大学時代のときの光景が蘇った。
「デートしてたときあったでしょ?
あのときもそうだね。
休日までつけてたんだよ。
それでさ、
これを一番波留くんに
伝えたかったんだけど…」
そう言って、
またバーボンを口に含むと、
ある何枚かの写真を取り出した。
「これって…っ!」