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エスキス アムール

第16章 バーボンと、ストーカー








「デートの数日後かな。

三嶋は、ジゴレットに行ってるよ。」


「何のために…?!」


「それは、わからない。
後をつけてた人も、
中には入れなかったみたいだからね。

だけど、
そのデートの相手の子に
会いに行ったんじゃないかな。


一度だけ、この店を利用したことがあるんだよ。

まぁ、波留くんの
大学時代を見ると、

また波留くんから離れろ
みたいなことを言ったんだろうね。」



カラン、

氷が音をたてる。

グラスから、
雫がスーッと垂れて行くのを呆然として見た。



「だからさ、
失恋じゃないかもよ。」


「…」


「僕が言いたかったのはそれだけ。」


そう言って、
いつの間にか飲み終わっていた
バーボンを

もう一杯お願いします
と、おかわりをした。








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