エスキス アムール
第16章 バーボンと、ストーカー
全身に鳥肌が立って固まる。
ゆっくり、ゆっくりと、
振り向くと、
そこには、
赤い髪をした……
「…妖怪?!」
「人間だよ…。」
ジゴレットのウェイターだった。
彼はもう
かれこれ5時間ほど
外で待っていたらしい。
そのおかげで、顔は青ざめている。
手も氷のように冷たかった。
もう、バスも電車もない。
「とりあえず、上がれよ」
そう言うと、
彼は
「ありがとう」と、
赤い髪の癖に素直に従った。
↑これも偏見な。
「あー、あったけー!」
すぐに暖房を付けて、
珈琲を居れてやると、
幸せそうに飲みほして笑った。
「ウェイターさん、あの…」
「シュウでいいよ。」
「あ、シュウくん、なんの用…」
「とりあえず、
風呂はいってきたら?」
畜生。
主導権、全部握られてる。
ジゴレットに
初めて行った時もそうだ。
入り口だけで帰ろうとしたら、
無理やり奥まで通したのは
コイツだった。