エスキス アムール
第17章 夜中の襲撃
嫌いだから
投げかけた言葉ではない。
三嶋良子だ。
彼女に何かを吹き込まれたに違いない。
こんなに走ったことって
あっただろうか。
もう脚が吊りそうだ。
もう少し。
もう少し。
暗闇の中を夢中で走った。
一度だけ行ったことのある
そこにたどり着く。
彼女の家はまだ
電気が灯っていた。
急いで階段を駆け上がって、
インターホンを鳴らす。
これでもかっていうくらい、連打した。
こんなにインターホンを
連打したのも初めてだ。
イタズラだってこんなにしない。