エスキス アムール
第17章 夜中の襲撃
よし、これで完成。
猫一匹で、4200円でーす。
櫛でとかしてあげる。
猫は目を瞑ったままだ。
「…もしかして、…ねた?」
「ん…」
前に行って覗き込むと
目をしばしばさせている。
仕事で疲れているのに
走ってきたんだ。
それは眠くなるよね。
「大野さん、立てる?
こんなところで寝たら
風邪引いちゃうよ」
「ん…」
さっきから、
ん
しか言わない。
可愛い。
ベッドに誘導すると、
また
ん
といって、布団に身体を滑り込ませた。
すぐに寝息が聞こえて来る。
明日、土曜日で良かった。
そうだ。
シュウにメールしよう。
御礼を言わなきゃ。
急いで携帯を開いて、メールを打つ。
本当にシュウには頭が上がらない。
何か今度
ちゃんと御礼しなきゃな…。
そうだ。あれだ。
あれ、プレゼントしよう。
良いことを思い出して、
ニンマリ笑う。
携帯を閉じて、ベッドをみると、
寝ていたはずの猫と目があった。