エスキス アムール
第18章 良ちゃんの恋
びっくりして顔をあげた私に
その人は驚いた顔をした。
「なに?」
「あ、あの…名前…」
「あ、その学生証読んじゃった。
驚かせてごめんね。」
定期と一緒に
挟まっている学生証。
それに、
フリガナなんてふってない。
なんで?
私は初めて、
男の人にドキドキした。
「ど、どうしてわかったの…?
リョウコって…。」
「…え?
あー、確かに。
ヨシコとも読めるね。
でも、キミ、何と無く
リョウコちゃんって感じしたから。
その漢字でリョウコって
素敵な名前だね」
リョウコって響き、
好きなんだよね。
彼は優しく微笑むと、そう続けた。