エスキス アムール
第21章 彼女との生活
「やばっ、時間だ。俺行くわ!
今度ゆっくり、はなし聞かせて!」
「おう。」
急いで帰って、
早く社長の分の仕事もしなきゃ
残業しても終わらない。
急いで食堂から出ようとしたとき
「波留!!」
要が慌てて、
俺の後を追ってくる。
その顔は、少し
余裕がないような感じだった。
「どうした?」
「いや、あの…。
あのさ、最近仕事で
お前、変わったことないか…?」
「…ないけど。」
相変わらず社長は使えないし。
「なら、いいんだ。
じゃな。」
彼はそう言うと
自分の席に帰って行く。
なんだ…?あいつ。
そのときは少しだけ
疑問を持っただけだった。
だけど、このとき、
ちゃんと聞けば良かったんだ。
聞いていれば、あんなこと、
防げたかもしれないのに。
俺は、目の前の幸せしか
見えていなかった。