エスキス アムール
第21章 彼女との生活
気配を感じて
後ろを向くと、彼がいて。
「大野さん!」
「ごめんね、待たせちゃって」
「ううん」
その雑誌を隠すようにおいて、
彼の腕に手を絡めた。
まだ、言えない。
もう少しだ。
今彼は忙しい時期だ。
せめて、彼の仕事が
落ち着いたらにしよう。
スーパーに入ろうとすると
彼はそっちじゃないと、
私の手を引っ張った。
「こっち。」
そう言って連れてこられたのは
イルミネーションが
キラキラ輝く綺麗な場所。
「ここ、穴場なんだよ」
彼の言うとおり、
そこは人通りが少なくて
とても、落ち着いて見られた。
「はるかちゃん、忘れてない?」
「え?」
「今日が、クリスマスだって。」
その言葉でようやく、
今日が何日か、思い出したのだ。
そして、ようやく気がついた。
どうして彼が、
仕事を早く終わらして
買い物に行こうと言い始めたのか。