エスキス アムール
第3章 めぐり合わせ
「いらっしゃいませ。
北山様、お久しぶりです。」
「おー、アカリちゃん、
久しぶりだね。」
にこりと笑って、
お客さんを迎え入れた。
北山さんは常連さんで、
一度だけ相手をしたことがある。
NO1よりも、
下のランキングの人を
応援したい質だそうで、
私がまだこの仕事を初めてばかりの頃、
指名してもらった事があるけど、それっきりだった。
彼が社長で、
その後ろについているのが副社長。
この人もまた一度だけ接待で見かけた事がある。
確か…佐藤さんだ。
あとの2人は知らない。
初めてのお客さんだ。
この店を
単なるキャバクラの一種だと思っているかもしれない。
その二人の内、
歳をとった方は
私を舐め回すようにみてきた。
多分ここのシステムを知ってるのだろう。
まるで、
品定めをされているようで、
良い気はしない。
だけど、
もう一人の若い綺麗な顔をした人は、対照的に見向きもしない。
きっと知らないのだろうな。
直感的にそう思った。
「皆様、お待ちしておりました。
ごゆっくり、
お過ごしください。」
そう言って
微笑みながら小首を傾げる。