エスキス アムール
第23章 別離と別離と別離
でも、それだったら、
要を解雇する理由がわからない。
俺のことが気に入らなくて、
世間からだけじゃなく、
会社からも、身内からも
評判が落ちるようにと言ったところだろうか。
そこまで嫌われていたとは。
こっちは、
お前の仕事までやってやってたというのに。
警察がつくのはあっという間だった。
「大野波留さん、
事情をお聞きしたいので
署まで御同行願います。」
まさか、自分がこんなセリフを
言われるなんて思っても見なかった。
だけど、
不思議とこの時は冷静で。
警察が調べれば、
俺がやっていないことくらい
すぐにわかる。
そう踏んでいた。
俺が動揺したのは
こんなことではなく、
家に帰ってからの、状況だった。