エスキス アムール
第24章 逃亡日記
無視しようかな。
そのノックの音に気がつかない不利をして居留守をつかう。
ドンドンドンドンドン
「……。」
ドンドンドンドンドンドン
「……、」
ドンドン!ドンドン!
「あー、もー!!」
誰だよ!!
しつこいな!
わかったよでるよ!!
ドアにそっと近づき、
覗き穴を覗く。
すると、それは、
まさに今、恐れおののいていた
毎日電話もメールも10件近くずつ
してきていたストーカー気質の
彼だった。
すぐに追い返そう。
そうっと、ドアを開ける。
5センチ開いたとき。
ザッ!!
「うわああああ!」
長い指がその隙間から
思いっきり差し込まれた。
「久しぶり、波留くん」
にっこり笑って
ギギギ、と、
ドアを開けてくる。
両手で押し戻そうとするのに、
奴は片手でそれを阻んだ。
強い。コワイ。