エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「おはよ。波留くん」
「……おはよう…」
僕の声に布団から顔を出して
挨拶をすると、
また、布団の中に潜り込んでいく。
…イモムシみたい。
そろそろ起きるか。
なるべく、
冷たい空気が入らないように
布団から身体を出して、
冷たい床に足をつけようとすると、
ニュッと手が伸びて来て、
腕を掴んだ。
「…わ」
突然のことで
驚いて手を引っ込めると、
彼は布団の中から
また顔を出して
こちらを見た。
「…ふふ」
そうして、
びっくりした?
とでもいうように、
悪戯っ子のような瞳で
ふにゃりと笑う。
これも寝起きにしかみられない光景だ。
普段も出るはずなんだけど、
僕はまだそこまで気を許されてないみたいで。
まだ、覚醒している時に
この笑顔をしてくれたことはまだない。