エスキス アムール
第27章 彼とのカスタム
「…もう、おきるの…?」
「うん、波留くん寝てていいよ」
その声に彼はまた
もぞもぞと動いて
半分布団を抱きしめるように
丸くなった。
顔は少しだけ出ている。
可愛い。
そう思いながら
その光景に浸っていると、
彼はフッと僕の方を見て、
何かを言おうとしている。
じっと見つめて、
何かを訴えていた。
「なに?どうしたの?寒い?」
部屋のヒーターをつけに行く。
彼の元へ戻ると
まだこちらをじっと見ている。
その瞳はまだやはり眠いのだろう。
うつろだった。
そして。
ポツリ夢の世界から彼が言葉を発する
「今日は、いいの…?」
「え…?」
聞き返すと、
彼は布団の中から
顔を全部出して顔を持ち上げた。
「……?」
それでも、何かわからない僕に、
彼は不満そうな顔をして
「ほっぺ!」
と、一言もらした。