エスキス アムール
第30章 彼の変化
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「……」
やっぱり、おかしい。
最近、波留くんがおかしいのだ。
「社長。…社長!」
「…え、あ、なに?」
「どうされたのですか
随分遠くをご覧になっていた
みたいですけど」
秘書が僕の瞳を覗き込む。
一瞬、口をついて
話しそうになったが
ダメだ。
この人は波留くんに何年も
片想いしていた女性だ。
それに、ストーカー歴もある。
かなりしつこい。
もしバレたら
絶対に殺される。
恋愛において
役職なんていうものは
役に立たないのだ。
「いや、なんでもないよ」
仕事そっちのけで
波留くんのことを
考えている理由。
それは、波留くんの
僕に対する態度だ。