エスキス アムール
第30章 彼の変化
一緒に住み始めて、
もう2ヶ月目が
終わろうとしている。
マスコミもだいぶ収まってきて
世間も波留くんを擁護する声が
ほとんどだ。
彼の親友だという
カナメという彼からは
度々、波留くんのもとに
電話がかかってきているようだが
波留くんは着信の画面を見て
それに出ることはなかった。
十数年の親友に
紙切れ一枚で切られたとなると
それはショックだろうが、
その紙切れ一枚を
なんの疑いもなく信じ
罵倒し、
ニュースで事実が分かると
電話をしてくる。
それは僕だって
電話に出るのは躊躇う。
彼はきっと、
カナメという親友の気持ちを
痛いほど理解しているのだろう。
だけど、どうしても
整理がつかないようだった。