エスキス アムール
第31章 彼の嫉妬
「あ、波留くんおかえり。
ジャケット。
どれがいいかなあ。」
彼は、俺と違って
服にこだわりがあるのか
たくさんの種類がある。
同じ色なのに
生地が違うとか
生地が同じなのに
色が違うとか。
まあ仕事の上では
大切だと思うけど、
プライベートでいらないだろ。
不安になって、
イライラしたことを忘れていたのに、また、イライラがぶり返してきた。
なんだよ。
そいつと出かけるときは
そんなに服選んで
おしゃれしていくわけ?
俺の時なんて
いつも同じ
ジャケットじゃねーか!
なんでそんな楽しそうに
していくわけ?
そもそも、
俺たち観光みたいなこと
したこともなければ、
そんなにデートだって
行ったことねーじゃん。
本気でそいつのこと
好きなのかよ。
俺のことはもう、どうでもいいのかよ!
イライライライライラ
イライライライライラ