エスキス アムール
第31章 彼の嫉妬
「なんでもいいんじゃないの。
どれ着たって変わんねーよ」
彼の床に落ちていた
ジャケットを拾って
思いっきり木更津に
投げつけた。
「何するんだよ。
何怒ってるの?」
「別に。怒ってないけど」
「怒ってるよ。
朝から不機嫌じゃん。
最近ずっとだよ?
八つ当たりすんのも
いい加減にしろよ!」
はああああ?
八つ当たりだと?
誰のせいで
こうなってると思ってるんだ。
お前のせいだよ。
お前がイライラの原因
なんだよ。
そんなこともわかんねーのかよ。
「こんな八つ当たりが嫌なら
その食事に行く奴にのりかえたら?」
「は?」
わけがわからないという
顔をする彼に
もう、我慢の限界だった。