エスキス アムール
第1章 ジゴレット
「今日は
今のところこんなもんかな。」
さっきもらった
お金の束を、
彼の前にちらつかせた。
それをじぃっと見つめる彼。
「…頼まれてもあげないからね。」
「えー!はるかのケチ!!」
「逆に
何でもらえると思ったのよ。
シュウだって
もらってるじゃない。
チップ。」
シュウはウェイターで、
身体を売ることは無いから、
私たちよりは給料は少ない。
だけど、
可愛い顔をしているから、
チップをもらうことも多く、
なんだかんだでお金を持っている。
本当はウェイターは
チップダメなんじゃなかったっけ?
「なんだ、ばれてたのか」
「昨日だってもらってたでしょ?
みんな知ってるよ?」
そう言うと、
びっくりした顔をして
口元を押さえた。
あんなに堂々ともらっておいて、そんなに驚くことかね。