エスキス アムール
第4章 巡り合わせ2
「社長来るって…?
言ってたの…?」
「昨日、連絡が来て…
明日行くからって…。」
なんて奴だ。
あんなミス犯しといて、
人に押し付けて、
何のストレスも無いだろうに!
抜くもんもないだろ!
溜まってんのはこっちだよ!
ふざけんなよあの変態社長!
「やめといた方がいい。
うん、
懸命な判断だよ、
アカリちゃん。」
そういう俺に、
「良いんですか?
そんなこといって(笑)」
と笑った。
「…この仕事続けてると、
分かるんです。
あぁ、この人はまだ大丈夫そう。とか、
この人はちょっと、犯罪じみてるな、とか。」
観月さんは、後者でした。
そう言って、毒づくアカリちゃんに、
「…じゃあ、俺は…?」
そう聞いたのは、
本当にバカだったと思う。
つい口が滑った。
やっぱり、疲れてるんだよ。
「あ…いや、何でもない。
気にしなくていいから。」
「喜んで受けます。」
慌てて否定する俺をよそに、
アカリちゃんは
真っ直ぐ俺を見て言った。
「私、大野さんなら、
喜んでお受けします」と。
彼女は、
さっき声をかけて来た人とは
別人なんじゃないかと疑うほど、妖艶に微笑んだ。