エスキス アムール
第4章 巡り合わせ2
「…あ、ありがとう…。」
ドギマギしてんじゃねーよ!
そこは妖艶に微笑み返せよ!!
自分で自分に突っ込む。
そんな
馬鹿げたことをしなきゃ、
平然としていられそうになかった。
「アカリちゃん、さ。」
話題を変えようと
必死になって名前を呼んだが、
疲れからからだろう。
言葉が出て来ない。←緊張からだろ。
「あの、お願いがあります。」
アカリちゃんは、
そんな俺を見て、
少しだけ微笑むと、そう言った。
「はるかって、
本名で呼んでもらえませんか?」
「…え?」
「プライベートに
源氏名を呼ばれるのは、
少しだけ…抵抗があって。」
あの、嫌だったらいいんです。
そう言って
彼女は慌てて付け加えた。
「はるかちゃん」
「……っ」
「はるかちゃん。
これで平気?」
そう言うと、はるかちゃんは嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとう、ございます。」
月明かりだけだったから
わからないけれど、
少しだけ心なしか顔が赤かった気がした。