エスキス アムール
第5章 苦い体験
お前のせいで
要らない恨みかってんじゃねーか!!
「い、いや、予約…した、かなぁ?」
「20時に予約でしたよね」
「いや、何かの勘違いなんじゃ…」
「いいえ、
予約しましたこの前。」
ウェイターの目力が凄い。
暗に認めろと言っている。
そして、後ろからの視線もキツイ。
もうコワイ。
「いや~どーだったかな〜…ハハ…」
「こちらにどうぞ。」
「……はい。」
もう諦めた。
後ろからの視線を無視し、
通された部屋で彼女を待つ。
そこはとても広い場所で、
机からなにからすべて揃っているような感じだった。
入って右手に
大きなベッドがあった。
それから目をそらす。
携帯返しに来ただけでえらい目にあったぜ。
携帯を返したらすぐ帰る。携帯を返したらすぐ帰る。
呪文のように心の中でそれを唱えた。
「お待たせして申し訳ありません。」
その声と同時に、入ってくる彼女。