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エスキス アムール

第39章 ハッピーバースデイ

【波留side】





「完成だ。これでオッケー」

「ありがとう!三村!」


自分で作らせてくれと頼んだ雑貨が、ようやく完成した。

我ながらうまく出来たと思う。



「自分で使うの?」

「いや、自分のはこっち。」

「…てことは、彼女の分か?」


その言葉に一気に赤面する。
彼女というか、彼氏だけど。
恋人と言う概念では間違っていない。


「波留って、昔からわかりやすいな〜。
プレゼントなんて妬けるね。
しかも、お揃いの!」

「あ…いや、その」



そう、今月は木更津の誕生日だ。

何を渡そうと考えた結果、
一番最初に自分の商品を使って欲しくて、
初めてに自分のデザインを自分で形にしたものを
プレゼントしようと考えたのだ。


これで、あとはケーキ作って。


木更津は喜んでくれるだろうか。
最近はろくにキスも出来てない。
抱きついて寝るだけ。


二人で食事くらいちゃんととりたいけど、誕生日ももしかしたら一緒に過ごせないかもしれない。

だけど、彼の喜ぶ顔を思い浮かべると顔が綻んだ。


「おい、波留。
にやけてるぞ」

「に、にやけてねーよ!!」



ピリリリ

ピリリリリ


「お、電話…
じ、じゃあまた、よろしくな。」


ちょうどいいタイミングでかかってきた電話で、三村から逃れた。
外に出てすぐに電話に出る。
知らない番号だったけど、この番号には見覚えがある。



「もしもし?」

『……。』


この間もそうだった。
いたずら電話だろうか。
何回もかけてくるってことは知り合いなのかもしれない。



「もしもーし?」

『…』

ブツ


……きれた。



なんだ?
その電話番号は、この間、
木更津と再開を果たしたときにかかってきていた番号と同じ番号だった。


日本の携帯ではないみたいだし、
知らない番号だから間違い電話かと思ったけど…

イタズラか?
騒動があってからイタズラは増えたけど、外国からっててさすがにないような…



「まあ、いっか」


用があるなら、またかかってくるだろう。

忙しい。とりあえず事務所に帰ろう。
戻りながら、木更津に今日も遅くなるとメールをうった。
















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