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エスキス アムール

第39章 ハッピーバースデイ

【木更津side】






『今日は何時に帰ってくる?』

波留くんからメールが入っていたのに気がついて、思わず顔が綻んだ。



今日、何時に帰れるか。


今日は深夜までニューヨークの化粧品メーカーのTHKとの打ち合わせがあり、今日分の日本の仕事もある。

そして、明日も明日で忙しいから深夜近くになるだろう。

ニューヨークに作った小さな事務所に寝泊まりしようと考えていた。



『今日は帰れないや。
寝てていいからね。』


そう返すと、
波留くんからの返信はなかった。

ご飯を作ってくれようとしたのだろうか。
何かと会えない日が続くと、きちんと話せなくなりもどかしく感じる。


「はあ〜。」

ゆっくり時間とって、波留くんを抱きたい。
波留くんがおかしくなるほど抱きたい。


波留くんが始動し始めてからずっと、彼のことを抱けていない。

それに、寝る時間も違うから、
お互い意識があるときでのおはようとおやすみのキスもままならない。


休み同じ日にとれないかなー。


少し憂鬱になりながらも、その日は結局、事務所にとまった。

彼の香りを思い出しながら、
彼の笑顔を思い出しながら。



早く彼を抱きしめたい
早く彼にキスをしたい。

波留くんが足りなくて



おかしくなりそうだった。

















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