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エスキス アムール

第40章 親友と部下









「…あ、…、あ!!高峰くん!!!!」



姿をみるなり大声をあげた俺に驚いて戸惑いの色を隠せない彼は、動揺して口をパクパクしていた。



「あ、あの、手紙いただいて…」

「うん、うん!!送った!」

「あの、間違いなんじゃないかと…」


その言葉に一瞬静止する。
確かに俺はあの時彼に応対してもらって、雇いたいと思ってずっと覚えていたけど、彼は一客の相手をしたにすぎない。

その一度しか会っていないやつから、急にオファーをされても戸惑うはずだ。

ああ、そうだ。
一から説明するべきだった。



「電機屋で応対してもらったんだけど…覚えてない?」

「覚えてます!
掃除機を買ってくださった、大野さんですよね?」


彼は全部きちんと覚えてくれていたが、オファーの手紙は本物なのかもわからないし、どうして自分がという疑問から、なかなか返事ができなかったそうだ。


だけど、憧れの人からのオファーが本当だったら絶対に受けたいと思い、回りくどい事はせず、直接会いに行って雇ってもらおうと来たらしい。

彼の行動力には驚かされる。



「大学は?もう単位とったの?」

「とりました!
卒業論文は、事情を話したら
教授がこちらからメールで送ればいいと言って下さって…」


なんて物分りのいい教授だ。
恩に着る。


これで作業もはかどる。
今年中に基礎を身につけてもらえれば、同年代の人たちが入社する頃にはその上の作業をやらせる事ができる。


要に叩き込んでもらおう。


一連のやり取りを見ていた要は、面白そうに彼を見ていた。
どうやら要も高峰の事を気に入ったようだ。


仕事に関しては、つくづく趣味が合うらしい。
これまでも仕事のやり方で彼とぶつかったことはなかった。


基礎ができて来たら、これをやらせよう。
設計図をたくさん書き上げて、高峰の未来の宿題を作った。






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