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エスキス アムール

第40章 親友と部下






「じゃあ、高峰のこと、任せたぞ!!」

「おー!任せとけ!!」



仕事終わり、三人でお祝いに飲みに行こうという話になり、近くの落ち着いたバーへ向かった。

高峰の話や、要の話を沢山したが、
高峰はもう家の契約も抑えているそうで、そこに荷物を運んでいるうちにうちの会社にくるのが午後になってしまったと釈明した。


聞けば、会社からは近いものの、
飲んでいるバーからは少し距離があるようだ。

要の家は仮住まいだから狭いし布団もない。
うちにも既にもう一人一緒に住んでいるやつがいるなんて、まさか要にいう事もできるわけもなく。


結局うちに高峰は来ることになってしまった。


一応帰り際に、木更津に確認のメールを入れると、
すぐに大丈夫だよと返信が来る。


俺はどちらかと言うと大丈夫じゃない。


要に言っていないのに、部下に先にバラすのも気が引けるし、憧れの人からのオファーを受けてニューヨークに来て見たら、その日の内にその人はホモだったなんて。

高峰はショックで腰を抜かすんじゃないかと思う。


そんなことをぐるぐると考えて、打開策はないかと探るけど時間は待ってはくれない。
アルコールで頭の回転も鈍って、何も答えが出ないまま、家についてしまった。




「一人で住んでるのに、大きいマンションですね!」

流石です。と、声を漏らす高峰に苦笑いをする。
一人暮らしじゃないから広いんです。


と心の中で呟く。
それはいい。
中に入ってから話そう。


取り敢えず扉を開けて招き入れると、家の中からは涼しい風が漏れて良い匂いがした。




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