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エスキス アムール

第48章 ただいまとおかえり







「捨てるんだったら財布だけ置いて行かせるわけないでしょ?」

「だって…」

「それで?どこまでしたの?」


木更津の言葉にうっとつまりながらも、恐らく逃がしてくれないのだと思い、一生懸命言葉を探す。



「あ、あの、キス…して…」

「うん」

「あの、その…なんていうか、彼女の身体には触った…」

「…。」



木更津は思い切りため息をつくと、これだから波留くんは。と背を向けてしまった。


「い、やだ、木更津!こっちむいて…」

「無理。僕明日から日本に帰らないといけないし、会議もあるんだよ早くから。だから寝ないと」

「に、日本に帰っちゃうの…?」



そんなの聞いてない。
折角帰ってきたのに、また明日から離れ離れなんて。



「い、一緒に行く!」

「だめ。仕事あるでしょ?」

「やだ。木更津行かないで!お願いだから…っ」



背中にグリグリと頭を押し付け、身体に手を回すと、木更津はこちらを向いて抱きしめてくれた。



「すぐに帰ってくるから。
その間、もう他の人とキスとかしたらダメだよ?」

「…一緒に…」

「ダメ。社長がサボってどうするんだよ。」

「…」

「いい?直ぐに帰ってくる。
2日くらい滞在したら、帰るから。
それまで他の人ともうキスしたらダメだよ?」


「…う、ん…」


あやすように優しく言われ、仕方なく頷く。
顔を見つめて、彼の顔を伺うと、仕方ないなと笑って木更津の顔が近づいてきた。







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