エスキス アムール
第6章 甘い体験
「はいっ、
これは
はるかちゃんにあげる」
どうせ飲むなら
コーラファンタの方が良かった。
ニコニコする大野さんの手前
飲まないわけにもいかず、
思い切ってそれを口にする。
「……どう?」
「…ハハハ」
「ね!意外といけるで…」
「まずいです!」
そう言うと、
余程自信があったのか、
そんなはずないのにとでも言うような顔をして、
「ちょっと飲まして」
一口飲んだ。
「あ、これはすごい。
これはすごい!うわ〜」
顔をしわくちゃにして下を出す。
急いでコーラファンタを流し込んだ。
いや、それも違うと思うけど。
「大野さんて、
味覚鈍いんですね。
好き嫌いないでしょう?」
笑ってそういうと、
彼は少し考えて言った。
「あるよ。ちんすこうとか。」
「何でですか?」
「小さい頃にさ、
ちんすこうお土産でもらって、
嬉しくて
口いっぱいに詰めたのね。
そしたら、
口の水分全部持ってかれて、
そのまま口から息吸ったら、
粉が肺に入ってきて
死にそうになったから。」
「あはははは!」
何とも可愛い理由に、
吹き出してしまった。