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エスキス アムール

第48章 ただいまとおかえり

【木更津side】





こんなに早く帰ってくると思わなかった。

なんて言って彼女の下からここへ来たのか、まだ聞けていないし、全然表情には出さなかったけど、波留くんが帰ってきたとき、飛び上がるほど嬉しかった。


本当だったら、すぐにでも抱いて彼と一つになりたいところだけど、こういう時に限って、日本に帰らなければならないなんて。


仕事だったらまだいい。
だけど、今回日本へ帰るのは仕事ではなかった。


波留くんがいない間に、父親から一度戻ってこいと連絡が入ったのだ。



どうして呼び出されたのかは想像がつくから、行きたくない。


心地よさそうに眠る彼にキスを落として、早朝の会議を済ませると、飛行機で日本に向かった。



13時間もかけて行くことでもないけど、今後また呼ばれないためだ。
今帰ってガツンと言って、直ぐに帰ってこようと思っている。

それに要する時間が2日ほどだと計算して、波留くんには伝えたけど、正直その程度で済むかどうかわからない。



もっと早いかも知れないし。




長い時間をかけて日本につき、迎えの車に乗り込んで、向かった先は実家だ。


家に入るなり女性の使用人が挨拶をして頭を下げるのに対してほどほどに返す。


…皆、女に変えやがって。



もう独り立ちをしてから何年も経つというのに、父の周到な僕への対策に辟易した。

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