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エスキス アムール

第48章 ただいまとおかえり



もうその人もいない。
うちの最後の男性の使用人だった。

もう今は、皆女性だ。


僕が男性のことが好きなのだと父親が気づいた瞬間から、男性の使用人は全てクビを切られ、全員女性になった。

僕が女性を好きになれるように、周りに女性を置いたほうがいいんだとか意味のわからないことを言って、男性と距離を置かされたのだ。


突然解雇され、路頭に迷う使用人たちのことを考えないのがあの人らしい。

その当時、僕のせいで解雇されてしまった人たちに本当に申し訳なくて、会社を立ち上げる時に声をかけ、そのうちの何人かはうちの会社で働いている。

もともと、使用人をしていただけあって、気配りも出来るし、仕事もできる人が多かったから助かった。


大体僕は、物心ついたときから男の人を自然と好きになっていた。
周りに女性を増やしたところで、男性を好きになるのは変わらないのに。


本当に馬鹿な父親だなと思う。

この手の職業の人はほとんどがそうなのだろう。
頭が固いやつの集まりだ。









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