エスキス アムール
第6章 甘い体験
「軽蔑?なんで?」
彼は
驚いた顔をして、私を見た。
「だって…、私、
こんな仕事をしてるんですよ。
毎日毎日、
知らない男の人の相手をして、
気持ち良くも無いのに
気持ち良いって囁いて、
それでお金を貰うんです。
…軽蔑しませんか?」
なんだか泣きそうだった。
何でかわからないけれど、
大野さんに軽蔑すると言われたら
もう立ち直れない気がした。
だけど、
彼は、そんな私を
優しい瞳で見つめる。
「うーん、そりゃあね?
傷つけられて泣きそうなはるかちゃん見たらさ、
こんな事やめちまえよって思うよ。
傷ついて欲しく無いからね。
だけど、
はるかちゃんは
高校の時から一人でさ、
夢のために必死になってお金を貯めてる訳でしょ?
それは、すごい事だと思うよ。
親に頼って
全部やって貰うのが普通な世の中でさ、
自分一人で稼いで夢叶えるって
誰もができることじゃない。
何をしているから
軽蔑するとかさ、
そう言うのはおかしいよ。
何かをするには、
何かをするだけのその人のストーリーがあって、理由がある。
はるかちゃんは、
一人で立ってここまで来た。
自信を持っていいよ。」
その言葉に、涙が溢れた。