エスキス アムール
第55章 オムライス
「オムライス…よし、オムライスな!」
オムライスは俺と木更津の大好物だ。
俺が初めて木更津にオムライスを作ったとき、本当に幸せそうな顔をしてくれたことを思い出す。
美味しい美味しいと、食べてくれる木更津を見るのが本当に好きだ。
こっちまで幸せな気持ちになる。
「あのさ…?」
「…?」
「オムライス、食べたらさ…あの……話したいことがあるんだ…」
矢吹とのこともちゃんと話して、好きなのは木更津だと伝えて、ちゃんと、仲直りするんだ。
「………う…」
ピリリリリリリピリリリリリリ
木更津がうん、と言いかけたとき、携帯の着信音がそれを遮った。
「木更津?」
「僕のじゃ、無いけど…」
だとしたら、俺のだ。
仕事かもしれない。携帯を取りにいってディスプレイを見る。
その表示されていた人物に思わず固まった。