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【木更津side】





「…なんで…」



自分の情けない声が静かな空間に響いた。





波留くんは、僕が矢吹に喧嘩をふっかけられているのを知らない。
だから、どうして僕が彼に対して敵意丸出しなのか分からずに、戸惑っていたはずだ。


あんなにぎくしゃくとした関係で、出張で家を空けるのはとても気が引けた。

帰ってきたら、その隙に波留くんは矢吹と仲良くなって、もしかしたら家からいなくなってしまっているかもしれないと思ったからだ。



だけど、波留くんはちゃんと家で待っていてくれた。

玄関に顔を出して待っていてくれたときは驚いて、一瞬固まってしまって。


本当に嬉しくて、だけど、まだぎくしゃくとしていて、暫くの間どうしたらよいのかわからなかった。