エスキス アムール
第7章 オオノねこ
「俺が
抱くって言ったのにさー、
俺が二回もイ#@&¥*%」
最後の方は口に出すのも恥ずかしいのか、
なにを言ってるのかわからなかった。
代わりに言おう。
多分、
「イかされて」と言いたいんだろうな。彼は。
私は布団の中に入って、
大野さんの所まで行った。
目の前まで辿り着くと、
彼の目がフラっと開く。
「大野さん、
ありがとうございました。
私を抱いてくださって…。」
「…そんな、大層な事してないよ。
だって俺が二回もイ(以下自重)…」
大野さんは拗ねた顔をして、また向こうを向いてしまった。
擦れ合う肌の感触が心地好い。
とても温かかった。
大野さんって…
ちょっと根に持つタイプなのかもしれない。
まだぶつくさぶつくさと、一人でぼやいていた。
「…大丈夫だった…?
……怖く、ない?」
ぶつくさと言いながらも、
私に背中を向けたまま、
ぽつりと言う。
大野さんに
怖い要素なんて全くなかった。
だけど
他の人は大丈夫だろうか。
あんなにやさしい行為のほうが珍しい。
私の不安がわかったのか、
「大丈夫。また、くるから…。」
猫のように丸まって、
そういった。
ここで、大丈夫ですと
何か私が言っていたら。
もうあなたが
ここに来ることは、
なかったかもしれないね。