エスキス アムール
第1章 ジゴレット
それから
シャワーを浴びたものの、
またお客さんがきて
相手をして、
19時になるまでに
4回はシャワーを浴びた。
本来だったら
19時に開店だから
来るはずがないんだけど、
たまに
お金を使って
昼間から相手をさせる人がいる。
そんなにしたいのなら、
態々こんなトコロに
昼間から来てお金使わなくても、セフレでもなんでも
作ればいいのに。
まぁ、
昼間からいる私も私なんだけど。
お金が必要だから
仕方が無い。
頭を乾かしながら、
ぶつくさと考えた。
ドライヤーを止め、
髪の毛を梳かし、
ベッドにダイブする。
見慣れた天井を見つめた。
あと少し。
あと少しでお金が溜まる。
もう少しで
辞められるんだ。
それは、
とても嬉しいことだった。
だけど、
唯一引っかかるのは…
大野さん
この仕事を辞めたら、
もう会えなくなる。
それがとてつもなく
嫌だった。
何の契約もない。
ただのお客と風俗嬢。