エスキス アムール
第8章 チケット
「どうなったんだ?
はるかちゃんは。
まさか、お前…」
「いや、渡したよ?
誘ったし、
渡したし、
OK貰ったし。」
「なんて誘ったんだ?」
「……ん?」
「ん?じゃ、ねーよ。
聞こえてんだろうが。」
「だから、まあ、その…
美術展にいかない?って」
↑(かなり端折った)
「…そしたら?」
「…一緒に行きたいですって…」
「よかったじゃん!
一緒に行きたいって!」
いやーだけどさー。
渋る俺を見て、
要は怪訝な顔をした。
「なんだよ。良くないのかよ。」
「良いよ?
嬉しいんだけどさ……」
『一緒に行きたいです』
はるかちゃんがそう言ってくれた後、
まだ続きがあった。
「家に迎えに行くのは
まずいかなと思って、
待ち合わせしようってことになって…
当然、
はぐれちゃ困るし
連絡先交換しようって言ったんだよ。」
「おぉ、いいじゃん。
波留にしては」
……馬鹿にしすぎな。
「そこまでは良かったんだけど、
はるかちゃんが取り出したの…
プライベート用じゃなくて、
お客用の携帯だったんだよね…。」