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タヌキポエム

第48章 男のロマン

男とは常にロマンを追い求める生き物である。
そのロマンはとてつもなく大きなものから、他人からすれば笑われてしまうような小さくて愚かなものまでいろいろだ。

小さくたっていい、無謀だっていい、笑われたっていい、愚かでもいい、ボクはロマンを追い求めて生きたい。
ロマンをなくした時、それは男としての終着駅だから。

必ず勝てると信じてギャンブルをする。
どんなにお金を失ってもチャレンジは続く。
小学生の頃、負けてばかりなのに競馬を続ける先生がいた。なぜ負けてばかりなのに競馬をするのかと尋ねる幼いボクにヤツはこれが男のロマンだときっぱり言った。

必ず勝てると信じてパチンコに行く。
そして、その勝ったお金でパチンコ依存症の主婦と援助交際を夢見ている。
どれだけ負けた❓ならパチンコに行く回数を減らした方が援助交際資金が確保できるだろう。それは現実。買ったカッコイイ自分をアピールして女を口説きたい。それが男としての見栄とロマン。

何回無駄に時間とお金と労力を費やしたか分からない。うまくいくことなんて少ないのかも知れない。
しかし、そこに僅かな望みを懸けて混浴温泉に行く。たとえ今日は女のコがいなくても、ババアばかりでも、次に希望を託す。

外出して好みの女性を見つけると、カノジョは自分に気があるのだと信じて疑わない。
こちらを見ると、自分のことを見つめているんだと断定する。
勘違いだってかまわないさ。このドキドキしている時間こそロマンなんだから。

いつか巨大ロボットのパイロットになると夢見ている飛行機のパイロットにもなれなかったボクがいる。
でも、ロボットアニメの主人公って偶然にパイロットになるパターンが多い。
いつか巨大ロボットのパイロットになって街を守って女のコたちの喝采を浴びるんだ。

いつか怪獣が出現したら防衛チームに入隊するんだ。隊長は美人な歳上のお姉さま。そして、ボクは可愛い女性隊員と行動を共にすることが多い。
光の力は必ずボクに舞い降りるであろう。

いつか街の平和を守る正義の戦士になるんだと夢見ているボクは、会社のイベントで着ぐるみに入ったことはある。
街の平和を守るどころか、チビたちに殴られ蹴られ。小さな女のコと握手をした時、着ぐるみの手袋がとてつもなくぶ厚く思えた。
でも正義の戦士になることは諦めないよ。正義の戦士って普段は冴えないヤツの方が多いから。

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