甘い果汁
第6章 切ない果汁
紺野Side
俺達は、舞台裏でだきしめあっていた。
「綾…っ、寂しいよ…」
俺の胸の中で泣いているのは、
岬 春花
一つ上の先輩で、俺の彼女。
春花は、
強そうに見えるし、見た目は「この先輩冷てぇ…」と思ってたけど、
段々と話をしていくうちに、好きになっていって、
俺から告白して、付き合うことになった。
春花は俺の頬を両手でグイッと引き寄せて、俺にキスした。
「綾、好き、好きなの、」
「俺も好き」
「好きだから不安なの、」
「………………」
春花はボロボロと大粒の涙を流していた。
春花の長い睫が濡れていて、俺を子猫のような目で見つめた。
「っ」キュウン
その顔は今まで見せてくれたこともない顔だった。