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「う…。」
「…気づいたか。」
「今川君…？」
伊川がゆっくりと頭をあげる。
「良かった…。」
ほっとしたような顔を見せる未来。
「ここは…？」
「クエスト内の森の中。気絶してたから運んだんだ。」
「そう…。ありがとう。…そういえばあいつは？」
「…あいつは戻った。」
「…どういうこと？」
未来はこれまでのことを話した。
未来が闇猿を倒し水人が闇犬を倒したこと。
水人が急に『ゼウス』という人物に呼び戻されたこと。
そして『ゼウス』と水人…いや『ポセイドン』のバックに何か巨大な力を持つ人物がいること…。
もちろん水人が伊川のことを攻撃しようとしたことは隠しておいたが。
伊川は水人が闇犬を倒した話を聞くと少し感心したような顔をしたが水人が『扉』でどこかに戻った話をすると顔を伏せた。
「…やっぱりそうだよね。あいつは敵なんだよね…。」
「伊川…。」
「私少し思ったの。もしかしたら今回協力することで父さんが私たちの仲間になってくれるかも…って。」
「…。」
未来は何も言えなかった。
事実未来も水人には少し好感を持っていたし仲間になってくれれば頼もしいと思っていたのだ。
だけど
「駄目だったね…。」
ポロリと伊川の目から涙が落ちる。
「母さんも父さんも…。誰も私には守れない…。」
「…あいつは約束は守るって言ってた。」
「え…？」
「このクエストをクリアすれば伊川の母さんは返すって。」
「…。」
「だから…。」
「頑張ろう。」
伊川が言葉を引き取る。
その声はまだか細く震えてるけど
「ありがとう…今川君。」
伊川はほんの少しだけ笑った。