テキストサイズ

サイレントワールド

第5章 BOSS

「ふー。危なかったな…。」
「ああ…。死ぬかと思った…。」
ヴァルキリーから逃げ出した3人は大きく息を吐いた。
「なんとか逃げ切れたな…。」
「そうだといいんだけど…。」
龍はさっきから一言も話さない。
もともと龍はパワー重視のタイプなので未来たちのスピードについていくのでスタミナを使い果たしてしまったのかもしれない。
「おい。大丈夫か?龍。」
翔が声をかける。
こういうところでリーダーらしさが見えるんだよな…。
などと考えつつ未来も龍に近づく。
すると龍が口を開き
「来る!!」
そう叫んだ。
なにがと聞こうとしたところで気づく。
この状況でくるやつなんてアイツしか考えられない。
未来たちの上に影が落ちる。
恐る恐る上を見る。
すると
「グオオオッッ!」
雄叫びと共に剣が振り下ろされる。
「くっ…!?」
体に衝撃が襲いかかってくる。
なんとか耐えて前を見るとヴァルキリーが地面に降りるところだった。
「くそっ…。逃げ切れなかったか…。」
すると
「ニゲキル…?ソレデニゲタツモリダッタノカ?」
ヴァルキリーが話し始めた。
「ヴァルキリーって話せるのか…?」
未来の疑問も気にせずヴァルキリーの言葉が続く。
「オマエタチハナカマヲコロシタ…。ダカラワタシモオマエタチヲ…。」
コロスとヴァルキリーの口が動いた瞬間ヴァルキリーは未来の目の前にいた。
「っ…!?」
驚愕する未来へ無慈悲な剣が振り下ろされる。
ロクな反応もできない未来に
「未来!!!」
ガギィッ
という音と共にヴァルキリーの剣が止まる。
気がつけば未来は翔に抱きかかえられていた。
「くっ…。」
ガァンッ
と派手な音を撒き散らしながらヴァルキリーの剣が弾かれる。
巨大なハンマーを持った龍がこちらに向かってくる。
「大丈夫か?」
龍が声をかけてくる。
「あ、ああ…。悪い。助かった。」
チラリと左上のゲージを見ると半分ほどしか残っていなかった。
「くそっ…。あんなのに勝てんのか…?」
「勝てるかどうかじゃない。勝つんだろ!?」
翔が叫ぶ。
「追いつかれたってことはこれ以上逃げても無駄だろう…。ここでケリをつけるしかない。」
「でも俺はHPが残り半分しか…。」
「それでもやるしかない!帰るんだろ?あの世界に!!」
呼吸が止まった。
「…ああ。そうだな。」
少し息を吐き剣を握る。
「よし…。行くぞ!」
3人は走り出した。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ